二人の父の音楽会 (雑記帳プレノート1)
2006 / 11 / 28 ( Tue ) 01:56:04

丁度今から1年前の11月。
タクさんが背骨を潰し、おまけに脱水で緊急に病院へ行った頃から、私は父の先が長くないのを予感して、「二人の父の雑記帳」のプレノートとも言える、父の記録ノートを付け始めました。
その小さなノートが4冊目に入った先月、父は亡くなりました。

「雑記帳プレノート」はタクさんのことだけの内容ですが、その中からタクさんとイズさんの両方が書かれた珍しい日があるので紹介します。
これは見せるために書いていたノートではないので、原文のままではなく、ブログに載せるに当たり、多少手を加えました。

     ***     ***     ***     ***  

2006年2/4(土) この日はタクさんの特養で特養家族会主催の「ギターと歌おう」というコンサートの日でした。
イズさんは昔からクラシックギターの演奏が得意で、一時期カルチャーセンターで教えていたこともありました。
ギター演奏と歌なので、別の施設にいるイズさんにもぜひ観てもらいたかったので、タクさんと一緒に参加することを勧めました。

老健に居るイズさんを、夫と二人で迎えに行き、タクシーで特養まで連れて来ました。
夫とイズさんは先に1階の会場入りしてもらいました。
私は3階に居るタクさんを呼びに行きました。

ユニット内をうろうろしていた父に声をかけ、「ギターと歌を聴きに行こうよ!この建物の中でやるから」と誘うとあっさりOKしてついて来てくれました。
父のご機嫌が悪いと、あっさり上手くとは行かないことが多いのですが、この日は助かりました。
今日は父の入浴日でしたが、やはりまだ入浴しておらず、ヒゲが伸びたままでしたが、まぁいいか!

父と1階の会場に着くと、もう始まっていて夫が取っておいた席に着くと、父は意外にも素直に席に座ってくれました。
こういう時、さっさと座ってくれない日も多いのです。

父は足元の床などを見ていましたが、コンサートのパンフレットを夫が手渡すと、それを少し眺めていました。
でも、これにこだわり出すとコンサートはそっちのけになりそうだったので、すぐ何気なく取り上げると、スムーズに私に渡してくれました。
この日の父は、何でもスムーズに上手く行きました。
その後、黙って歌を聴いていました。

私の右側にタクさん。左側にはイズさん、その隣に夫が座っていました。
イズさんは勿論熱心に聴いていました。

父は腕組みなどして妙に普通っぽく(健常者のようで)、問題ない感じでした。
ギター奏者の男性が、歌の合間に曲の説明やエピソードを皆に話をしていると、
父は自分と二人だけで話し合っているのかと思ったのか…。

「ふむふむ…」「ほほう…」などと相槌を打ちました。

誰それが亡くなったと言う話の時には、「それは大変でしたね」と。
「それで…??」
「大勢人が来ていますね」

などと話に合った相槌を打って、しかも大きな声だったので、夫と顔を見合わせて笑ってしまいました。
イズさんもチラッとそんなタクさんの様子を伺っていました。

こんなに反応の良い父は最近では珍しいことでした。
いつもなら、こういう席での話しなど聴いていないし、反応して相槌を打つなんて有り得ないのに。

しかし、第2部で、ギター奏者の男性が「群青」(谷村新司)を歌い上げ、盛り上がってきたら、さあ大変。
父が突然、「あんまり大きな声を出すんじゃない!!」と叫びました。

あわわ〜!参ったな〜(^-^;;
でも、歌っている人も周りも、気付いていなかったか、気付かない振りをしてくれたのか、事なきを得ました。
父は歌は好きでも、大声とか、うるさいのが嫌いだからね。

1時間半のコンサートは無事終わり、父はずっと腕組みをして聴いてくれて、いつになく反応が良かったので、イズさんと一緒のコンサートに連れてきて良かったと思いました。

二人の父は車で5〜6分の近さの別々の施設に居ましたが、タクさんが重い認知症なので、なかなか会う機会はありませんでした。
このコンサートは今年の正月に二人が会って以来のご対面でした。

終了後、イズさんをタクさんのユニットに連れて行って、買ってきたクリームが乗った抹茶プリンを二人に食べてもらいました。
タクさんも、さっさと食べて物足りない様子で、平らげた器の中をいつまでもすくっていました。
こんなに良く食べるなら、もっと用意すれば良かったな〜♪

夫は用があって、途中で退席。
その後は三人で歌を歌いました。

イズさんは「東京ラプソディ」が十八番で、私と一緒に2回位歌いました。
父も得意な「同期の桜」「東京音頭」では、出だし部分を珍しく歌ってくれたりして、楽しく過ごしました。

父は歌に合わせて手拍子をして、
「♪は〜い、はい」
「♪それそれ」など、合いの手もタイミング良く入れてくれました。

楽しく歌ったあと、その日はまだ別の用事がありまして、「また来るからね♪」と言ってユニットを出ました。
父は少し残念そうに「あ、いいよ」と、いつものように言いました。

帰り際に、イズさんはユニットの職員さんと色々話をして、にこやかムードでした。
イズさんはこの特養に入所申し込みをしてあって、時々イズさんの近況を伝えていた部長さんにも、初めてイズさんをご紹介出来たりして、有意義な日でした。

私はタクシーを呼んで、イズさんの老健の部屋まで一緒に戻りました。
イズさんんが父のことを、
「この前とは全然違っていたね!!」と、良い感想を述べていました。
この前とは、今年のお正月に会った時で、この時父は不機嫌だったのです。
認知症の人は、何かとムラがありますもんね。

後日、老健のイズさんの面会に行った時は、このコンサートのギター演奏や歌のことを熱心に語ってくれました。
もう、
両方の父が揃うことはなく、この時が最後となりました。


今日の花262262
外の寒さに強い「ガーデンシクラメン」をあちこちのお宅の庭植やコンテナで見かけます。可愛い小型のシクラメンで、寒さに強い品種です。赤やワイン色の花と緑の葉っぱなので、クリスマス飾りにも使われたりしています。


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特養でのタクさんと老健でのイズさん【認知症末期】 TB:0 CM:4 admin page top↑
二人の父の近況
2006 / 08 / 21 ( Mon ) 00:51:15

最近、二人の父の近況から離れていました。
ちゃんとそれぞれの父の元にも通ってるよ!ってことで、近況報告を。

8/19(土)、タクさんの特養へ。
夕食前に爪切りをする。
前にも爪切りのことを書きましたが、この日も私の手をギュッときつく掴んで離さないのでやり難い。

最近の父はどんな物でも掴んだら離さないって感じ。
「溺れる者は藁をも掴む」の通り、生命ギリギリの父は、無意識にも自分の命だけは守ろうと、掴んだ物は絶対離さない心境?というか状態なんだと思います。

爪切りのことは、もう分かってくれてない父だけど、「爪を整えるよ〜そうそう!そのままでラクにしててね〜いいよ〜!」と、とにかく優しい言葉掛けで握り締めた手をそっと解きつつ爪切りしました。

食事は最近嬉しいことに進んでいます。
この日も、最初は私がちょっと味見して、味を確認してから「これ美味しいよ〜いっぱい食べていいよ〜どうぞ!」などと勧めると、自分で何とかスプーンですくって食べます。
少し食べ進んでから、食事に常用薬(顆粒や錠剤)を混ぜ食べてもらい、食後にはシロップも飲んでもらいます。

数年前は、普通に「あーん」して舌に乗せ、水で飲んでもらっていましたが、薬を飲み込む時にはとても苦そうな顔をしていました。
最近の父のように認知症が進むと味覚の機能も衰えているようで、食べ物に薬を混ぜても何とも感じないようです。
でも、大好きな甘い物に関しては、はっきり分かるようで、おやつの時は美味しい様子です。
甘い物って味覚の根本、最初で最後の味覚なんだと思います。

途中から食べ方に勢いがなくなって、もぐもぐの時間が長くなった頃から、今度はすくって食べさせてあげることが多なります。
最後まで自力で食べて欲しいのですが、時間がかかって疲れるせいか最後まで自力は難しい様子。
この日は所定量を超えて、お代わりのおかゆ(最初から用意してある)も食べました。

最近は、すくって食べさせてあげると時間は掛かりますが、いくらでも食べられるような感じです。
介助して食べても、食べ終えるまでに最低1時間40分位はかかります。
前にも書きましたが、その間、同じユニットの入居者さんの話相手をすることもよくあります。
何しろ、職員さんは足りないし…。

食べている最中、とても小さな声だけど「あの親父さんはどこの人だい?」と父が珍しくユニットの入居者に関心を示しました。
職員さんと思わず顔を見合わせて「Sさんて言うのよ!」とニッコリ応えました。
父がそんな反応を見せたのを目の当たりにしただけでも、今日来た甲斐がありました。

帰り際に、園長さんより「お父様、最近よく召し上がれるようになったようで、良かったですね」と。
「それまで食が進まなかったのは、やはり歯が痛かったんでしょうね?良い選択(全ての歯を抜いた)をされたと思いますよ!」と、おっしゃって下さいました。
全ての抜歯後10日程は抜歯以前よりも食べられなくなり、どうなるかと心配していましたが、最近は歯茎が落ち着いてよく食べるようになり、本当に良かったと思っています。

***   ***   ***   *** 
  
一方、老健のイズさんは、最近悩み事があって大変でした。
先日会いに来て食事を一緒にした兄嫁の子供(孫)のことで、毎日悩んでいたのでした。
一人では考えがまとまらず、私に相談に乗って欲しくて老健から電話してくるのです。
兄嫁は私より10歳年下なので、イズさんは何かと私の方を頼ります。

今すぐでなくても済むことなのに「今から来てくれないか?」とか。
話を上手くまとめて話せないので、老健の公衆電話からでは話の途中ですぐ切れてしまって、すぐ掛け直してきたり。
留守電に慣れないので、怪しい息遣いの無言の留守電だったり。

本来なら私には無関係でいられる話なのですが、ここ数日はイズさんの悩みの道連れにさせられてしまいました。
が、私のアドバイス?のせいか、やっと先の見通しが出てイズさんも落ち着きを取り戻しました。

その間、今回のお盆では、どちらも日帰り圏内ですが、山梨と埼玉にあるタクさん方とイズさん方の両方のお墓参りを別々の日に何とか済ませました。
イズさんもそれを聞いて安堵していました。


今日の花262262
最近民家の塀沿いに咲いているのをよく見かける鉄砲百合によく似ているユリ。でも、鉄砲百合より葉っぱが細くて素朴なな感じ。調べてみたら「高砂百合」(たかさごゆり)でした。先日お墓参りした霊園にも沢山咲いていました。

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特養でのタクさんと老健でのイズさん【認知症末期】 TB:0 CM:0 admin page top↑
今日は両方の父
2006 / 08 / 04 ( Fri ) 02:37:53

8/3(木)は気温32度とかで、暑くて仕事は疲れたし、イズさんの老健とタクさんの特養の両方へ行って益々疲れてしまったです。
一眠りしてから書き始めました。

イズさんの老健で、先日の納涼祭の写真が張り出してあったので、イズさんと一緒に見ました。
1枚しか写ってなかったので残念そうでした。
私と一緒の写真なのですが、背景が暗いのがお気に召さなかったようでした。
他の方々の写真はお祭り気分の背景がよく分かる写真が多かったので。
私は悪くない写真だと思ったのですがね〜。
当日、カメラ持って行ったんだけど、現実を楽しみ過ぎて撮るチャンスを逃してしまったのでした。
「そんなにいいよ」とイズさんに言われたけれど、内緒のお菓子と飴をお腹すいた時用に今度も置いてきました。

タクさんは相変わらず、あまり食べられません。
夕食はまたまた1時間40分かけたけれど、思わしくないのでその辺で止めました。
その代わり、職員さんが出してくれたポカリスエットのとろみ付きを、どんどん飲ませました。(300cc位)
タクさん、食べてない時でも(少しは食べ物が口に残ってるのかな?)絶えず口をモグモグしています。
だから益々、なんだかな〜いかにも、ボケ老人ぽくなってしまいました(涙)

夕食前、爪切りをした後、すぐ傍の食事テーブルに移動してもらうのを、いくら言葉で勧めても立ち上がろうとしないので(これもいつものこと)、以前ヘルパー講習で習った立ち上がらせる方法(腰に手を回し、タクさんの体を私に全面的に委ねる)をやってみたら、難なく立ち上がらせることが出来、両手を持つと歩いて移動してくれました。

夕食中、職員さんと読売新聞に連載中の「延命治療」のことなど話し、職員さんの親の体験話も参考になりました。

それから、今日は特養の職員さんにこのブログのことを話して、見て下さいと宣伝もしちゃいました。かなり恥ずかしいですが(^-^ゞ


今日の花262262
今日のように夏らしく暑い日に元気な「ポーチュラカ」。別名「花スベリヒユ」。やんちゃな子供みたいな可愛い花です。「松葉牡丹」にも似ていますが、最近はポーチュラカの方をよく見かけます。松葉牡丹より花びらが厚くしっかりして、葉っぱが尖っていません。どちらも暑さと乾燥に強く、夕方には萎む一日花です。

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