抜歯後のタクさん
2006 / 08 / 02 ( Wed ) 20:06:33

16本抜歯してから今日で五日目。
その間、昨日を含めて二回特養に様子を見に行ってきました。
もう抜歯そのものの痛みはないと思われるのですが、タクさん食事にムラがあるようで、あまり食べられていません。
今月は更に一層痩せてしまいそうで、体力面が心配です。

おやつの時間に行った日曜日は、特養で用意された一口サイズに切り分けた餡入りクレープを、ムシャムシャ時間をかけて何とか食べました。
プリンも幾つか持って行き、冷蔵庫に入れて置いてもらいました。

昨日は夕食時に介助に行きました。
う〜む、ダメだ〜!
以前からの「きざみ・とろみ食」ですが、殆ど食べられない状況です。
口の中に入れたまま、もぐもぐしないので、父に声をかけて促します。
「あれ?お父さん食べてないのかな〜?」と笑顔で声をかけると、父はニヤッと笑って頷いて、急に思い出したようにモグモグします。

いつもの飲み込み手段、お茶を含ませて飲み込ませるのも、あまり効果ないです。
口をキュッと結んでることが多く、コップを口に持っていって「お茶だよ。飲んでね〜」と言っても、今までのように、口をパクッと開けてくれなかったりします。
口の中にある食べ物をそのままにして口を開ける行為が、歯がないためこぼれそうに感じるのか、今までのように出来なくなったみたいです。

結局、1時間40分かかって、どの皿もお茶碗も、3さじ位ずつしか食べられませんでした。
施設にいつも用意してある食べられない時の栄養補助ドリンク「エンシュワ」を、ナースの提案で一日一缶から三缶に増やしました。
「エンシュワ」は父の好きなミルクティーに色も味も似ています。
幸い飲み物なら、勧めれば(飲ませれば)どんどん飲んでくれます。

もう痛くはないようなので、あとは歯茎が固まるのと、食べることに慣れるだけなのですが…。
慣れることが普通の人のようには出来ず、難しいのかもしれません。
歯が全くなくなったことで、食べることに(噛むことに)相当な違和感があるのかもしれません。
重い認知症のため、口の中の状況が変わったことで、食べること(特に噛み方)をどう処理したらいいのか分からないのかもしれません。

重い認知症のため、食べ物の形や名前も忘れてしまったので、食への思いはない。
食への思いがないから、空腹感も湧かず、従って食欲もない。

「何で食べたくもないのに、食べなきゃならないの?」と、父は思っているのかもしれません。


今日の花262262
真っ白い白さがかなり目を引く花「ユーフォルビア」。「初雪草」とも言います。白い花に見える部分は葉っぱなのです。この花を見かけると夏が深まったことを毎年感じます。

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歯を全て失った日
2006 / 07 / 29 ( Sat ) 21:47:01

昨日、S病院の口腔歯科へ出かける時、少し前まで居眠りしていたので元気のない父でしたが、特養の園長さん他職員さんに見送られて車椅子に乗ったまま特養の車で出発。
S病院でいつもの訪問歯科の先生(紹介状を書いて下さった)と待ち合わせ。
訪問歯科の先生は車椅子を押して下さったり、何から何まで最後まで一緒にいて気遣って下さいました。

歯のレントゲンを撮る時、頭を固定する器具で押さえたため「痛い!痛い!」と父が叫び動くので、数人掛かりで撮影。私も防御服を着て父を押さえに回りました。
私の意向で上の前歯(差し歯4本)だけは今回残したかったのですが、レントゲンの結果、状態が予想以上に悪く、これも抜歯することに。

口腔歯科の担当医を年配の先生と想像していたのですが、意外にも訪問歯科の先生より若い方でした。
車椅子から診察台(普通の歯科のと同じ傾く台)に移るのも、父は出来ないので訪問歯科の先生が抱き上げて乗せる。
父は体重34kgしかないし、最近は体力が衰え、以前程抵抗しなくなっていたので先生は軽々と抱き上げてました。

診察台を傾け「足を伸ばしてラク〜にしていいよ〜」と、私は言いながら父の足を優しく伸ばす。
父の口には口を開けっぱなしにする固定器具がはめられた。
「麻酔の注射しますよ」と先生。
全ての歯を抜くため、歯茎の何箇所にもわたり、とても細い注射針を刺すたびに、父は「殺す気かーっ!!」と顔を歪め叫ぶ。
認知症になって以来、子供のように痛みを堪えることが難しくなった父でした。
見ていて本当に辛かった。
痛むたびに動くので、訪問歯科の先生が体を押さえ、私はずっと傍でしゃがみこんで父の両手を握り押さえる。
「ちょっと痛いけど、すぐ痛くなくなるよ〜!頑張ってね〜!」などと、訪問歯科の先生と交代で父に優しく声をかける。
麻酔が効いてからの抜歯は歯根が弱くなってたこともあり、比較的スムーズで切開することもなく、父も痛がらず次々に抜かれていきました。
こんなに何本もの抜歯を目の前で見るのは初めてでした。

結局1時間かかったかどうかで16本抜きました。
最近、父の特養の入居者で、この口腔歯科で抜いた方は14本だったそうです。

翌日の消毒は訪問歯科の先生がやって下さることになり、飲み薬を処方され、今回だけで全て終了ということになりました。
大きな穴が開いた歯茎も2〜3ヶ月で固まるとのこと。
歯が全てなくなった父の顔は、思ってた通りとても情けないもので、そんな状態にさせてしまったことで辛い気持ちになりました。
歯があることは、本当に大切なことです。
歯を守ることが出来ない認知症という病を憎みたいです。

車で20分、特養に戻ってくると、再び玄関で園長さん始め皆さんがお迎えして声をかけて下さる。
ユニットに戻って、麻酔が取れてきた時間なのだが、父は痛がらず、むしろ出かける前より元気で色々しゃべる。
滅多に最近は言わなくなったトイレも行きたいと言う。
最近は座ってることが多いのに、ユニット内を散歩するし、声がいつもより大きい。
その様子を訪問歯科の先生と見ながら、「辛い思いをしたけれど、良い方向に向かいそうですね」と語り合いました。

明るい気持ちで、私は一旦家へ戻り、気になる夕食時に再び特養へ。
通常通り、いつもの「きざみ・とろみ食」を食べ始めたけれど、まだ出血が完全に止まってなかったので、血と共に少し吐き出してしまいました。
ちょっと無理だったようで、用意したモンブラン・プリンを口に運ぶとよく食べるので、夕食はこれと飲み物だけ。
通常の薬に加え歯の薬が沢山ありましたが、プリンに混ぜると全部薬も飲んでくれました。

父にとって大変な日だったけれど、先々歯茎が落ち着けば炎症の心配もなくなり、少しは美味しく食べることが出来て、体力回復に繋がるかもしれません。
抜歯は父の延命措置の一環でもありました。
またこの度は、認知症に大変ご理解のある優しい訪問歯科の先生が、ずっと行動を共にして下さって心強かったし、感謝の思いでいっぱいです。
そして、タクさん!辛い思いをさせてごめんなさい。


今日の花262262
梅雨が長引き、例年ならとっくに咲いている「サルスベリ」がやっと咲き出しました。私が好きな夏の花の一つです。

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父、タクさんの歯の経過
2006 / 07 / 29 ( Sat ) 21:42:21

父は昔から歯が悪い人でしたが歯科治療には積極的だったし、電子歯ブラシやお口くちゅくちゅモンダミン、とか熱心でした。
認知症になってからも、私と一緒にずーっと歯科通院していましたが、今から4年位前には歯科に行くのを嫌がるようになり、治療中
「何をする!!」と拒んで、とうとう通わなくなりました。
部分入れ歯を作っても、認知症特有の症状で自宅で無くしてしまいました。

認知症になると、何事にも拒否が目立ってくるのですが、歯も磨くのを嫌がるようになり、せっかくセッティングしても滅多に磨かなくなり、食後爪楊枝でしばらくつついてるだけの状態になりました。
次第に虫歯や歯槽膿漏がじわじわ進行してグラグラの歯が増えてきました。

3年前に1ヶ月半程グループホームに入っていた時、訪問歯科が来て歯の掃除程度はやって貰っていたようで、入居者皆と一緒なら嫌がらずに診察を受けていたようでした。
グループホームを退去して在宅になった時、グループホームでお世話になった訪問歯科に来て頂いて、化膿した奥歯を自宅で抜歯したこともありました。
抵抗する父を歯科衛生士さん二人が父を取り押さえて抜歯しました。可哀想でしたが仕方ありません。

2年前に現在の特養に入った頃には、訪問歯科に診て貰っても、拒否して滅多に口を開けない状態でした。
訪問歯科の日に時々立ち会ったことがありましたが、歯科の先生や歯科衛生士さんがとても優しく気遣って対応しても、治療はおろか歯の掃除も出来ない状態でした。
私が手を取って歯磨きを誘導すると何とかやってくれて、歯科衛生士さんは「やはり娘さんだと違いますね〜」なんてことも。
そして、昨年からは認知症が一層進み、水を飲むことは出来ても吐き出せず、うがいも出来なくなっていました。

特養に入居した2年間に、歯がグラグラして折れてしまったのが4本位ありました。
残る歯が少なくなり、次第に一般食が食べにくくなり、食欲が衰え、昨年秋からは歯に負担がかからない「きざみ・とろみ食」になりました。
しかし、とろとろした食事は父の好みではないし、歯槽膿漏のため歯茎は腫れ易く、食は進まず、益々体重は落ち、従って体力も落ち、体力が落ちると気力も落ち、すべて悪循環でした。

そのため半年位前から、訪問歯科の先生に口腔歯科で残っている歯根の除去と抜歯を勧められていました。
今ある歯は認知症のため治療が困難なので抜歯するしかない。
歯根だけ残っている歯は、歯槽膿漏悪化の原因になるので、美味しく食事をするためにも抜くしかないと説明されてました。
全部の歯を抜くしかないのです(涙) 辛いです。

全部抜いてしまっても、入れ歯を作ることが認知症のため困難なのです。
要するに口を開けない、歯型を取る間じっとしていられない、歯の噛み合わせ感覚を伝えることが出来ないので噛み合わせ等の微調整が出来ない、という訳です。

先が長くない父、体力的にも衰えている父に抜歯の苦痛や負担をかけたくなかったし、なるべくなら何もせずに様子を見たいと言って半年経ってしまいましたが、歯の状態は悪くなるばかり。
結局、最近になって父の体調が冬より落ち着いてきたので、口腔歯科で抜歯する決断をしました。
この先、体調が悪く、歯も具合悪く食べられなくなって、「胃ろう」などにするしかないのは絶対避けたかったからです。

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